「ケータイ」イコール「ガラケー」ではない

ガラケーという高度に日本市場に最適化された製品から、スマホといういわばグローバル市場でまとめて売るための最大公約数的で大雑把な製品へとシフトする流れの中で、ガラケー最強の一時代を築き上げてしまったドコモは、今まさにその築き上げてしまった大きな資産をどうやって処分するかに悩んでいるのでしょう。

ガラケーの未来がキャリアの未来と重なる時代

 

 ドコモがガラケー時代の遺産の決算を迫られてるという点は同意するが、スマホ以前の携帯電話を十把一絡げに「ガラケー」呼ばわりするのはいくらなんでも大雑把じゃないですか。ここをキチンと切り分けないと、処方箋は示せないだろう。

 

 なぜ、日本の携帯電話を取り巻く状況が「ガラパゴス」と呼ばれるようになったのか。ユーザビリティとニーズを無視した多機能の追求に突き進んだことでグローバルな価値を失い、国内市場に特化した特殊なプロダクトになったことが、ガラパゴス化と形容されたのだ。

 

 ガラパゴスケータイことガラケー*1は、一般的には高機能な携帯電話を意味するフィーチャーフォンと呼ばれる*2。これに対して従来型の携帯電話はベーシックフォンである。日本であまり使われてこなかった言葉だが、今後スマートフォンと並立して生き残るのはこの種の携帯電話と予想されるため、ここで改めて確認しておきたい。

 

 さて、日本のキャリアのラインナップに残っているケータイはどちらにあたるのだろうか。世界的には通話とSMS, MMS等のショートメールのみに対応する端末をベーシックフォン、これに加えてwebブラウザやカメラ音楽再生機能などを付加した端末がフィーチャーフォンと呼ばれていた。既に過去形だが。というのも、海外ではフィーチャーフォンが浸透する間もなくスマートフォンが普及し、フィーチャーフォンは過去のものになってしまっているからだ。

 

 日本で広く使われてきた所謂「ガラケー」は明かにフィーチャーフォンに属している。電話、メールに加え、考えられる限りの高機能化を図ってきたからだ。

  

ベーシックフォンより多機能、スマートフォンほど自由度はない

第458回:フィーチャーフォン とは

 

 ところが高機能化は行き詰まった。現在、各キャリアがラインナップしているケータイは以前よりシンプルなものがほとんだ。かつてスマートフォンが日本で受け入れられにくい理由として、ワンセグおサイフケータイ、赤外線通信の欠如が挙げられたことがある。この三機能は現行のケータイにもおおむね載っているが、オミットされるのは時間の問題かもしれない。たとえばソフトバンクの2012年冬モデルの202SHからは、おサイフケータイが省略されている。このあたりはさすが機を見るに敏と言わざるを得ない。これからケータイを購入する消費者が機能よりコストを優先することを鋭く見抜いている。

 

 ケータイがベーシックフォンに向かうこの流れはおそらく止められない。長いスパンで見ればスマホへの統合もありえるが、当分はスマホとベーシックフォンが並立するだろう。スマホ端末と回線契約をバンドルした従来の携帯電話キャリアのコアビジネスと、基盤インフラとしての携帯電話サービスを並立が求められる。契約数シェアでほぼ半数をもつドコモは相対的に後者の役割を強く求められることになる。これが最初に述べた「ガラケー時代の遺産」だ。

 

 ドコモが契約者のボリュームを守りたいのなら、この層をどう扱うかが鍵になる。収益につながらないが、数は多いという厄介な顧客である。固定のように上下分離して、基盤サービスはインフラ会社に任せてしまう方法も考えられるが、現実的に可能かどうか。

*1:蔑称として使われた経緯があるので無闇に使うべきではない

*2:記事中にも言及されている